認知症について

写真:認知症イメージ画像

介護は想像である

人と人が交わることを基本とするものが「介護」である。
決して一方が一方を支配するものでもなければ、片方が依存してしまうものでもない。
人と人が交わるその場では、思いやり、やさしさ、気配り、気付き、相手と自分に対する愛を導き出すための『想像力』は不可欠である。
そして「介護」はそこから、共感・共有を経て、互いに支えあい、補い合い、認め合い、『共に生きる』ことなのである。

KAORU

認知症の方への支援

「認知症」と一言でいっても、人によって症状は様々です。
認知症になった原因疾患、もともとの性格、育った環境、社会生活環境(仕事、趣味等)、人間関係作り(対人関係等)、家族と家族との関係、認知症以外の病気、身体状況(視力・聴力等)によって、人それぞれの「症状」が現れます。
つまり、その方のいまの現象は、認知症があることに加えて、その人がどんな人だったのか、どんな考えを持っていて、どんな人間関係をするのか等が大きく影響していると考えられます。
認知症以外の「その人の部分」がほとんどの要因と考えられます。
だから「支援」となると、認知症の症状への直接的な支援はもちろんのこと、何を考えているか、何をしたいと思っているか、どのように生きていきたいと思っているのかということについても「支援」していく必要があります。
できづらいことがやりやすくなるようなサポート、表現しづらい思いを代弁してもらえるサポート、居心地よく安心できる生活へのサポートということになります。

写真:認知症の方への支援のイメージ

具体的な専門性とは

認知症という状態にあっても、環境(場所・人など)が整えば、それまでと変わらない生活を送ることができます。それを実践できるのがグループホームです。
利用者様がそれまで通り、「自分らしく」「安全で当たり前で」「尊厳の保たれた」生活を送ることができるようスタッフと共に考え実践しています。
認知症の種類によって現れる症状は変わってきます。一人ひとりのその特徴を捉えて、どんなことを実感しているかを探ることが花縁での専門性となります。
またその方がこれまでどのような環境で生きてきたか(性格や人間関係の構築の仕方当)、現在の認知症以外の身体状況などがあるかどうかにより、その人によって現れる症状は異なります。
その方の全体像をみんなで把握し、表現できない「思い」を探り、代弁者となり、利用者様の「自分らしい生きたい生活」を送っていただくための仕事が私たちの専門性です。
『暮らしやすい環境』が目標です。
これは利用者様だけではなく、働くスタッフにも同じことが言えます。
花縁に携わる人すべてが、『生きやすい場所』であるために、みんなと一緒に考え自立した人生を送りましょう。

写真:具体的な専門性のイメージ

認知症とは

 『生後いったん正常に発達した種々の精神機能(知的機能)が、脳の器質的障害によって慢性的に減退・消失することで日常生活・社会生活を営めない状態』

一般的にはこのように定義されています。器質的障害とは脳の細胞そのものが壊れること、細胞が死んでしまうことをいいます。そのために今まで生きてきて獲得してきた知的機能がだんだんと少なくなり、失われることによって、今までの暮らしが一人ではできなくなる状態のことを言います。
 認知症とはあくまでも『状態』を示しており、その状態を引き起こしているのがさまざまな病気ということになります。認知症という状態は病気のためになっているということをご理解いただきたいです。

普通の物忘れと認知症の物忘れ

人は年をとるにつれ誰でもある程度もの忘れをするようになります。しかし、このような「生理的老化によるもの忘れ→いわゆる、ど忘れ」と認知症のもの忘れには違いがあります。物を収納した場所や、昨日出会った人の名前、夕食に食べた物を咄嗟(とっさ)に思い出せないことは、認知症だけではなく、老化による物忘れにもよくあることです。
しかし、認知症の場合には、物を収納した、人と出会った、食事をしたという、体験自体をすっぽり忘れてしまいます。忘れたという自覚がなく、食べてないと言い張り、再び食事を要求したり、繰り返して同じ物を買ってきたり、反復して同じ質問をすることなどがあります。また、もの忘れだけではなく、計算ができなくなったり、時間、場所、人物の見当がつかなくなるなど、生活する上で重大な支障をきたすようになります。


生理的な物忘れ
認知症
原因
脳の生理的な老化
脳(神経細胞)の病
もの忘れ
体験したことの一部を忘れる(ヒントがあれば思い出す)
体験したことを全部忘れる(ヒントがあっても思い出せない)
症状の進行
あまり進行しない
だんだん進行する
判断力
低下しない
低下する
自覚
忘れっぽいことを自覚している
忘れたことの自覚がない
日常生活
支障はない
支障をきたす


認知症の定義

「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が、脳の器質的障害により、慢性的に減退・消失することで日常生活・社会生活を営めない状態」を認知症といいます。

①ある種の疾患(原因疾患70~100)
 ⇒アルツハイマー・脳血管性障害・レビー小体・ピック病・その他

②脳の器質的な障害・故障
 ⇒脳細胞が機能しなくなっていく若しくは壊れていく状態

知的能力の衰退(成年期以降・後天的)
 ⇒記憶障害・失見当・実行機能

生活の不自由
 ⇒料理等の手順を忘れていく
  家に帰れなくなる等場所がわからなくなっていく
  服の着方やご飯の食べ方等実行方法がわからなくなっていく


認知症の種類

アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
脳血管性認知症
④前頭側頭型認知症

認知症のケア~ 人として生きることを支援する

◎求められる『共感する姿勢』◎

  • 病気がかなり進んでも、感情機能とともに、ご本人のプライドは保たれていることが多いものです。理解しがたい行動をとるからといって、ばかにしたり、邪魔者扱いしたり、あるいは冷ややかな態度をとると、ご本人の自尊心は傷つけられてしまいます。
  • 様々な障害により、わからない、思い出せないことが増えていくなかで、そのときの周囲との関わりが、自分を保つすべとなり、それを杖にすることでなんとか自分を保っている。周囲からどのように扱われているか敏感になり、「邪魔者扱いされている」と感じた場合も、それは確実にご本人の中に蓄えられていくので、そう感じない環境の工夫が必要です。

◎できることはする自然な環境◎

  • 日常生活の中で自然に行っている動作は、できるのであれば自分でやっていただく。
    そこを意識したケアの在り方が必要です。
  • 「やろうとする」「自分で動く」ときにはその行動を止めずに見守りしてできるようにサポートしてください。

◎認知症ケアのポイント◎

  • 責めない、叱らない・・・再教育しようとして腹を立てないこと。
  • 「論より証拠」ではない・・・説得より、納得。感情的な受け入れ、おさまりが大切。
  • 便利なものより、なじみのあるもの・・・変化にもろい。なじんだものを活用。
  • 残っている力(機能)を尊重する。
  • 急な変化、急速な展開は困惑や混乱をきたす。
  • その人らしさの発見。
  • 安心を与える、頼られる、「おなじみさん」になる。